2025-02-13

2020年1月7日 「桜を見る会」招待者名簿シュレッダー廃棄問題 質問と要請

 

質問と要請

内閣総理大臣 安倍 晋三殿

2020年1月7日

            「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会

 

私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて行動しています。 

 

 2019年4月13日に行われた「桜を見る会」の招待者名簿について、同年4月22日に廃棄の指示をメールで送り、5月9日にシュレッダーで廃棄した、と内閣府は説明されています。4月22日に指示したことが5月9日の作業となったことについて、「空き状況や、短時間勤務で障害者雇用の担当職員の勤務時間等を調整した結果だ」と説明しています。

 私たちは、こうした説明に「短時間勤務で障害者雇用の担当職員」が引き合いに出されたことについて、強い違和感と不快感を感じました。

しょうがいしゃの雇用率の水増しの次には、このような形で引き合いに出すのか、というのが率直な思いです。

内閣府のしょうがいしゃに対する姿勢を改めて問いただしたいと思っております。

 

 内閣府のホームページには、「内閣府は、障害者施策に関する企画・立案や総合調整を担う官庁として、施策全体の基本的な計画等を定めるとともに、関係省庁及び地方公共団体などと連携し様々な施策を実施しています。」と記載されています。にもかかわらず、障害者雇用率の水増しをほかの官庁とともに行い、水増し発覚後においても、しょうがいしゃの雇用率が1.52%という外務省に続くワースト2という状態にあります。障害者雇用促進法の違法状態にあり続けているわけです。

 

こうした観点を踏まえ。以下の質問をいたしますので、お答えいただくよう要請します。

 

(1)「桜を見る会」名簿のシュレッダーによる廃棄問題について

 

①短時間勤務の職員は、すべてしょうがいしゃなのですか?

 

②内閣府は、しょうがいしゃとして雇用した職員に対して、このようなシュレッダー作業を主要に行わせているのですか?

 

③短時間勤務とは、週20時間から30時間の勤務のことを指していると思われます。そうすると、4月22日から5月9日まで、18日間ほどかかっていることになりますが、このことをどう説明されますか?

 

(2)内閣府のしょうがいしゃ雇用について、以下質問します。

 

①上述の内閣府という官庁の役割からして、障害者雇用率を水増しし、いまだに、大幅に雇用率未達成な状態について、どのように考えておられるのか、お答えください。

 

②内閣府では、雇用したしょうがいしゃの職員に対して、どのような勤務をさせているのでしょうか?

 

③雇用率水増し問題が発覚した以後に行われた採用試験で、内閣府に就職したしょうがいしゃのうち、すでに退職したひとはいらっしゃいますか?もし、そのような方がいらっしゃったら、退職した原因について、お答えください。

 

④内閣府は、しょうがいしゃの雇用率を達成するために、どのような方策を進めているのか、明らかにしてください。

 

(3)「桜を見る会」で、1日に5500万円もの税金を使い、飲み食いしている有様を知るとき、生活保護や最低賃金ギリギリかそれ以下の所得で生活している者の多い私たちは、強い衝撃を受けます。社会保障予算の削減を語る政府が何をしているのか、との怒りを禁じえません。

 「功労があった人の表彰」と言いながら、税金を使って誰を表彰しているのか市民に知らせない、ということにも、強い憤りを感じます。

「桜を見る会」について、以下の質問にお答えください。

 

①「桜を見る会」の招待者を含めた実態を、市民に明らかにしてください。

 

②このような会を、開く必要はない、と私たちは思いますが、内閣府の見解を示してください。

 

 以上の問題に関するご見解を、1月以内に文書でお答えください。


2020年5月29日内閣府・厚生労働省との交渉

 厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

新型コロナウイルス感染に関する要請書

               「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会

 新型コロナウイルス感染への取り組み、お疲れ様です。

 私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて行動しています。

 新型コロナウイルス感染状況が深刻な中、しょうがいしゃの命、そして、福祉や医療で働く人たちの命のため、以下のことを要請します。

 

(1)PCR検査の強化を図り、希望者全員に適切なタイミングで検査を受けられるようにしてください。

 私たちの仲間には、様々な持病のある方がおり、適切な診断が行われなければ、命にかかわります。にも拘わらず、ある脳性麻痺の仲間は、発熱からPCR検査を受けるまで、6日間かかりました。発熱し咳が出るなどして、二日目に保健所の紹介による病院を訪れたにもかかわらず、2回の診療ではインフルエンザの検査さえ受けられずに、6日目にしてようやく、PCR検査を受けることができました。そして、検査の結果が判るまで、さらに3日間かかり、陰性であることが判りました。

 この方は、重度訪問介護を受けています。この方の介助にかかわる事業所では、多数のしょうがいしゃの介助を行っており、その中には、人工呼吸器を常時使用している方など、新型コロナウイルス感染が重症化する確率の高い方もいらっしゃいます。また、介助者への感染は、介助体制を崩壊させ、介助者の命とともに、介助を受けられなくなったしょうがいしゃの命をも危険にさらします。

 検査に基づく対応が直ちに求められていたにも関わらず、このような放置状態が続いたことについて、厚労省として重大な事態である、と認識していただきたいと思います。このようなことを繰り返さないために、以下の質問にお答えください。

 

①この方は、1回目の診療でレントゲンを、2回目の診療でCTスキャンを取っているのですが、なぜPCR検査をすぐに実行しなかったのでしょうか。PCR検査の対象を絞り込みすぎているとの指摘もありますが、考えられることをお答えください。

 

②発熱6日目に検体採取を行った際に、「検査結果が出るまで4・5日かかる」と言われました。体制によっては数時間で結果が出るはずの検査がこれほど時間がかかってしまうのは、どうしてなのでしょうか。

 

③希望する全員に、スムーズな検査を行うべきだと考えます。そのためには、何が必要なのか、具体的にお答えください。例えば、

・検体採取        

4月14日の事務連絡「新型コロナウイルス感染症に対応したがん患者・透析患者・障害児者・妊産婦・小児に係る医療提供体制について」を発出していますが、難病患者が新型コロナウイルスに感染した場合にも、適切な入院も含めた医療を受けられるようにしてください、こうした入院の場合でも、従来からの難病の保健医療を続けられるようにしてください。

 

(9)以上の質問と要請につきまして、話し合いの場をもってください。新型コロナウイルス感染の関係上、一部の話し合い参加者は、インターネット回線を介しての参加も認めてください。

 

以上


2020年6月29日 津久井やまゆり園の利用者支援の検証を求める要請書

 神奈川県知事 黒岩 祐治 殿
           「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会

  私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃ の代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を 求めて行動しています。

 

  6月18日付の毎日新聞は、「やまゆり園の虐待調査、コロナに乗じて闇に? 神奈川県の中止宣 言に疑問の声」と言う記事を掲載し、「5 月 18 日の県議会厚生常任委員会で、県側が「津久井やまゆ り園の検証は中間報告をもって終了」「最終報告は作成しない」と説明」したことを報じています。 取材を受けた鳥井健二・利用者支援検証担当課長は、「調査は法人に任せている。今後は前向きな議論をしていく」と答えた、としています。 私たちは、憤激を抑えることができません。


『津久井やまゆり園 利用者支援検証委員会 中間報告書』(以下、中間報告書)において、虐待の あったことが指摘され、かながわ共同会については「法人のガバナンス体制に関する検証」におい て問題が指摘され、神奈川県に対しては「県立の障害者支援施設の設置者としての役割意識が不十 分であり、指定管理者に障害者支援施設の運営を任せきりにしてしまう傾向があることが確認され た。」と記載されています。

 

鳥井課長の上記の発言は、この中間報告書の指摘を100%否定するものであり、絶対に容認することはできません。 また、かながわ共同会による調査や自己改革にまかせることなどできません。


3月16日に出された横浜地裁の判決では、2016年7月26日の植松の襲撃の動機の重要な 柱として、「本件施設の利用者とその家族、職員の言動から、意思疎通ができない重度障害者が不幸 を生む不要な存在であり、「安楽死」させるべきであると考えるに至った」と記載しています。

 

にも かかわらず、判決後に開かれたかながわ共同会の記者会見では、「「運営上の問題点」についての質 問に対して、園を運営する社会福祉法人かながわ共同会の草光純二理事長が、こう語気を強めた。 「決してないと私は思っている。軽々しくそう思うこと自体が非常に失礼で、無責任な発言。こと の本質を見誤る」(『時事通信』)
と発言しています。これでは、法人運営の改善など、期待できるはずもありません。


私たちは、以下のことを要請します。
(1)津久井やまゆり園利用者支援検証委員会の検証を継続すべきであり、 5 月 18 日の県議会厚生 常任委員会で表明した「最終報告は作成しない」との方針を撤回すべきです。 検証委員会の佐藤委員長は、津久井やまゆり園職員からの聞き取りを行う予定だったと語られています。虐待防止には、必須のことです。これを神奈川県が妨害するとしたら、それは、障害者虐待 防止法をないがしろにする行為であり、私たちは断じて許しません。
(2)5月18日の県の表明がどのような経緯で出されたのか、その反省も含めて、明らかにして ください。
(3)神奈川県は、6月26日に開かれた神奈川県議会の厚生常任委員会において、‘神奈川県障害 者施策審議会’に設置する‘障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会’(以下、検討 部会)において、津久井やまゆり園も含む県立6施設の検証を行って行く、と表明されたと聞いて います。これについて、おたずねします。
① 検討部会の所掌事項の中には、検証という言葉が入っていません。これはどうしてなのでしょ うか。
改めて、所掌事項に、利用者支援の検証ということを、明確に記述してください。
②検討部会と並行して、‘津久井やまゆり園 利用者支援検証委員会’(以下、検証委員会)が最終報 告を出すまで活動を継続させるべきだと思いますが、この点についての見解を示してください。
③ 検証委員会のメンバーは、この検討部会に加わるのかどうか、おしえてください。


7 月 15 日までにご回答ください。

 

 

     2020 年 6 月 29 日
 


2020年10月5日厚生労働省交渉

 精神科病院ついての質問状

★神戸市の神出病院について
 本年3月5日、各紙報道は、神出病院における職員による患者虐待を報じました。
前日に、職員6人が準強制わいせつや監禁、暴力行為等処罰法違反により、警察に逮捕されたのでした。
「男性患者同士にキスをさせた」「無理やり性器をなめさせた」「檻付きのベッド(重さ106キロ)を逆さまにして患者を閉じ込めた」「トイレで裸にしてホースで水をかけた」という非人間的行為の数々が報道されて、加害者はその患者の反応が面白かったと言っているということでした。なお、ベッドに閉じ込められた 63 歳の人はその後亡くなっています。死因は不公表です。

このような病院内における虐待は、10年以上にわたって続いているとも言われます。


厚労省は、3月11日に、この事件について、精神・障害保健課長名の事務連絡を出されていますが、その後の取り組みも含めて質問いたします。


(1)精神保健福祉法第三十八条の六は、「厚生労働大臣又は都道府県知事」に、精神科病院における患者の処遇について、立ち入りを含めて調査する権限を与えていますが、神出病院の事件について、厚労省は、これに基づく調査を行いましたか。行っているならば、これにより把握した事実を述べてください。

この調査を行っていなければ、なぜ行わなかったのかを説明してください。


(2)精神保健福祉法第三十八条の七は、「厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神科病院に入院中の者の処遇」について、改善命令を行う権限があることを規定しています。厚労省として、神出病院に対して、患者の処遇について、改善命令を出しましたか。

 出したのであれば、その内容を明らかにしてください。改善命令を出していないのであれば、なぜ、改善命令を出さなかったのかについて、説明してください。
 

(3)神出病院の患者処遇の実態について、厚労省として、どのような実態をつかみ、現在どのような見解をお持ちか、述べてください。

(4)神出病院は、これまでしばしば、医療保護入院の在り方について、神戸市から不適当と指摘されてきました。また、逮捕された被告たちが裁判で、自分たちが就職する以前から、虐待が行われていた、と証言しています。こうした、過去から現在に至る神出病院の状況について、厚労省の認識を述べてください。また、こうした神出病院が、保険診療を行う機関として適切なのかどうかについても、見解を示してください。


(5)3月5日に報じられた事件について、神戸市の精神医療審査会は、患者からの訴えがなかったから、として、実態解明に動こうとしません。問題が明らかになったのだから、入院患者の状況を把握し、患者の話を聞くべきです。神戸市の調査でも、患者からの声を聴くことはありませんでした。病院側の改善計画においても、患者からの声を聞こうとはしていません。
 これは、せいしんしょうがいしゃを人として扱わない姿勢であり、日本国憲法も障害者権利条約をも無視する姿勢だと言わざるをえません。こうした体質が、患者の虐待につながる根本原因であると考えますが、厚労省の見解を示してください。


(6) '障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律'の附則第二条では、

 「政府は、学校、保育所等、医療機関、官公署等における障害者に対する虐待の防止等の体制の在り方並びに障害者の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、・・・等のための制度について、この法律の施行後三年を目途として、児童虐待、高齢者虐待、配偶者からの暴力等の防止等に関する法制度全般の見直しの状況を踏まえ、この法律の施行状況等を勘案して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」

と規定しています。
すでに、この法律施行から8年が経過しているにも関わらず、見直しは行われず、医療機関、とりわけ、精神科病院での虐待は後を絶ちません。厚労省は、こうした精神科病院における虐待については、その実態を把握して公表することさえしてきませんでした。

 

 神出病院事件を契機に、 '障害者虐待防止法'を、以下の観点で改正すべきであると考えますが、厚労省の見解を示してください。
・第二条2項の「障害者虐待」の定義について、養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者による虐待に加えて医療機関の職員、学校の職員、保育所の職員、官公署等の職員による虐待を加えること。
・虐待「を受けたと思われる障害者を発見した者」の行政への通報義務を、医療機関、学校、保育所、官公署等にも拡大すること
・これらの虐待状況については、毎年度公表するようにする。とりわけ、都道府県知事により、精神科病院における虐待の状況、この虐待に対して取った措置について、毎年度の公表を、早急に行うようにすること。


(7)ちてきしょうがいしゃの入所施設をめぐる虐待については、千葉県袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」での虐待、神奈川県の津久井やまゆり園をはじめとする県の関係施設の虐待に関して、第3者委員会による検証をおこなっています。神出病院についても、外部の第3者による検証が必要なのではないか、と考えますが、厚労省の見解を示してください。
 


★「県立ひょうごこころの医療センター」における看護師による暴力事件について
8月5日、 NHK は、 '県立ひょうごこころの医療センター'で5月に起こった看護師による暴力事件を伝えました。同センターは、この日にこの看護師に処分を出したそうですが、この問題につき、質問いたします。


(1)厚労省は、精神保健福祉法第三十八条の六に基づく調査、あるいは、精神保健福祉法第三十八条の七に基づく改善命令をを行う予定はありますか。


(2)同センターの発表によれば、「看護師はことし5月、精神疾患で入院中の男性患者から顔を2回殴られたことに腹を立て、顔を殴り返して、右目のまわりの骨を折る全治2か月のけがを負わせた」とのことです。
 厚労省として、把握している事実を説明してください。


(3)今回の事件がなぜ起こってしまったのか、また、過去にもこれに類する事件が
あったのかなどについて、厚労省の見解を示してください。


★精神科病院でのオンライン面会について
 新型コロナウイルス感染を警戒して、精神科病院では、面会や外出の制限が行われています。そのため、 '精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第 37 条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基
準'の「精神科病院入院患者の院外にある者との通信及び来院者との面会(以下「通信・面会」という )は、
「患者と家族、地域社会等との接触を保ち、医療上も重要な意義を有するとともに、患者の人権の観点からも重要な意義を有するものであり、原則として自由に行われることが必要である。」と記載されています。この法的基準が保障されていないのです。
日本国憲法第十八条前段は、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。」と規定しているにもかかわらず、精神保健福祉法によって、強制入院が行われているのです。そうであるならば、面会の自由を保障するのは、国としての責務であるはずです。
しょうがいしゃの入所施設については、5月22日に、 '社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課'から
「障害者支援施設等におけるオンラインでの面会の実施について」が発出されています。ここでは、

「利用者の方とそのご家族等との間で、ご家庭にいながらオンライン面会(テレビ電話システムや Web アプリのビデオ通話機能等のインターネットを利用する面会)を行っていただくことが望ましいです。」とした上で、

「(1)必要となる備品等」、「(2)オンライン面会を行うにふさわしい環境」など、具体的な体制も記しています。
6月2日には、同局・同部の'精神・障害保健課'から「精神科医療機関における新型コロナウイルス感染症等へ対応について」 と言う事務連絡の中で、「(3)精神科医療機関で感染者が発生した場合に備えて、平時より、各医療機関において以下の感染防護体制について検討するよう促すこと。」の中で「・感染拡大防止のため、 家族等との面会を行う場合におけるオンラインによる面会の実施」と記載されているにすぎません。


(1)6月2日の事務連絡により、どの程度、精神科病院でのオンライン面会が行われているのか、厚労省が把握している実態を示してください。


(2)同じ'障害保健福祉部'内にありながら、どうして、 '精神・障害保健課'は、これほど、オンライン面会に消極的なのか、その理由を示してください。


(3)早急にオンライン面会を保障する措置を取るべきであると考えますが、厚労省としての見解を示
してください。


★宇都宮市内精神科病院での不適切診療問題についての厚労省の行政指導について
 7月21日付の毎日新聞の地方版では、

「宇都宮市の精神科病院が入院患者に不適切な医療行為をしているとして、同市の元嘱託医、朝信泰昌精神科医が20日、行政指導を求める申出書を厚生労働省と県、同市に提出した。県庁で記者会見を開いた朝信医師は「市は多くの問題点を黙認している。不要な治療や入院が行われているのではないか」と訴えた。」

と報じました。とちぎテレビなども同趣旨の報道をして
います。
毎日新聞の記事では続けて、「申出書によると、同院では2015年1月、同市が生活保護法に基づく個別指導を実施した際、認知症治療に必要な検査が実施されていない事例が3件見つかった。また18年7月の指導でも、

長期入院患者9人のカルテについて、うつ病の記載があるのに抗うつ剤の処方がない

▽重度のアルツハイマー型認知症患者が任意で入院している

▽レセプト(診療報酬明細書)と同市に提出する書類で病名が異なる――

など複数の問題点が見つかったという。」とも記されています。
厚労省は、どのような行政指導を行ったのか、その内容を示してください。
まだ行っていないとすれば、いつ、どのような内容で行うつもりかを、示してください。
以上

2021 集会宣言

 10.23 【集会宣言】

今年の大フォーラムはコロナウイルス感染予防の為、一か所に集まることはやめ、各会場をZOOMで繋ぎ行われています。この感染症の広がりは、現代社会の抱える根本的な問題を改めて浮彫りにしました。

 

 医療体制を弱体化させた各国で、医療崩壊が起こり、日本でも1990年代から保健所の数を半分に減らす中で、必要な検査や医療が受けられない事態が起こりました。私たちの仲間とその介助者も、こうした中で多大な苦難を経験しています。

 

 医療現場では、命の選別ということも言われるようになりました。コロナウイルス感染症は重症になると人工呼吸器を必要とします。医療崩壊を起こした国や地域がある中で、年齢やしょうがいによって、呼吸器の使用を制限しようというガイドラインや主張が出ています。これに対して、世界中のしょうがいしゃ運動からいのちの選別に反対する声が上がっています。

 

 また、医療機関が面会制限を行う中、入院介助を拒む病院が出てきています。入院時の介助派遣は介助を必要とする者の権利として交渉し受け入れられて来た経緯を考えると、感染症一つで私たちが築いて来たものが崩されていくのかとの危機感があります。

 

社会では、感染予防のために必要なマスク、消毒液をはじめとする必需品が不足してしまう物の生産体制の問題も明らかになりました。そして、1930年代とも比較される経済の落ち込みは、失業や住む場所を失う人々を作り出し、若い世代の自殺の増加も起こっています。

 

 入所施設や精神科病院では隔離が強まる中で、虐待など事態の悪化が懸念されます。神戸市の神出病院における虐待をはじめ、これまでも入所施設や精神科病院では虐待が起こってきました。実際にクラスターが発生する中で、面会や外出が制限されています。その中ではオンライン面会が一つの代替手段となるわけですが、とりわけ、精神科病院では、厚労省も含めて、そのための整備について、非常に消極的な姿勢を取り続けています。

 

 さらに地域生活の場では、しょうがいしゃなど介助を必要とする人が感染したり濃厚接触者として、待機が必要となった場合や同居している人が入院した場合、介助体制が重大な危機にさらされます。行政は、こうした場合の方針を作れておらず、事業所からのヘルパー派遣も見合されてしまう可能性が高いのです。また、当事者の感染ではないものの、感染を恐れてヘルパーが来なくなるなど、しょうがいしゃの生活が苦しいものになってきた状況もあります。

 

そして、コロナ禍で一番気になるのはやはり差別の問題です。感染者やその家族、また医療従事者や介護職の人たちを差別したり、東京都など感染者が多い地域の人たちも差別されています。この社会ではこれまで色んな病気や感染症が流行る経験もしてきて、そのことへの反省もあるはずなのに何故ひとたび正体不明の病気が現れただけで人を差別してしまうのでしょうか?

 

さらに、社会保障では、危機的状況が予想されます。各国政府は、新型コロナウイルス感染対策として、多額の財政出動をしていますが、これを引き締めに転じたとき、社会保障費の大きな削減が行われてくる可能性があります。

 そういう観点からも、6月25日に名古屋地裁において、2013年以降に行われた生活保護費削減を肯定する判決が出されたことは、今後に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。しかもこの判決では、「国民感情や国の財政事情を踏まえたもの」であると肯定しているのです。生存権否定の判決と言わざるを得ません。

 

 社会的な状況は、障害者権利条約や「骨格提言」の求めるものからますます遠のいてしまっているように思われます。そんな中で、このコロナ禍において、大フォーラムが行われたことは、とても意味のあることだと思っています。このつながりの力によって、各地、各人の困難さに共同して立ち向かう思いを作り出して行きたいと思います。

 この大フォーラムで大勢のしょうがいしゃが全国で繋がれたことは、どんな状況にあっても人と人とは繋がっていけるという証明でもあります。人と人が思いやりをもってお互いの存在を認め合い、差別や偏見のない社会を作って行きましょう。


大フォーラム2020

 『こっかくていげん』の

かんぜんじつげんをもとめる

2020大フォーラム

~つながって生きぬくぞ!

   コロナの社会のわたしたち~

とき :2020年10月23日(金)13:00~16:00

ところ:インターネット(Zoom)& かいじょう

さんか:もうしこみ(うけつけを、しゅうりょうしました)

わたしたちはいま、コロナウィルスの大流行というじだいに生きてい
ます . そして、わたしたちしょうがいしゃは、さまざま不安をかかえ、
とまどいながら、くらしています。
 ことしは、それぞれが日々 かかえている おもいをかたりあい、いろんなほうほうで皆さんとつながっていきたいとおもっています
  

■プログラム

10.23 プログラム表

13:00 【開会】司会あいさつ/主催者あいさつ

13:10 【連帯アピール】

*反貧困ネットワーク代表世話人 弁護士

*旧優生保護法被害者・東京訴訟原告

*日本障害者協議会

*病棟転換型居住系施設について考える会代表

*障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会 

*介護福祉士・ホームヘルパー国賠訴訟原告

*国連障害者の権利に関する委員会 委員

*介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット共同代表 弁護士 

*国会議員のみなさん

  ・木村英子議員 ほか

14:00 【リレートーク 全国からの声】

*福岡から:全国公的介護保障要求者組合 福岡支部

*?

*福島から:あいえるの会

*群馬会場から:障害者自立生活センター ほっとたいむ

*埼玉会場から:埼玉障害者市民ネットワーク

*東京から:年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会

*神奈川から:神奈川県障害者自立生活支援センタ

*京都から:日本自立生活センター自立支援事業所

*兵庫会場から:兵庫県精神障害者連絡会

*大阪から:脳性まひ者の生活と健康を考える会

*大阪から:線維筋痛症友の会 

*広島から:ピープルファーストヒロシマ

*愛媛から:ぐっどらいふ

*沖縄から:沖縄県自立生活センター・イルカ

*沖縄から:沖縄県精神保健福祉会連合会 事務局

15:50 集会アピールの提案/シュプレヒコール

16:00 【閉会】

 

シュプレヒコール

当事者と介助者の 生活を 守れ!

 

病院も施設も 家じゃない!

 

なかまを ころすな!

 

私たち抜きに 私たちのことを 決めるな!

 

大フォーラムを 続けるぞ!


 


2020年11月30日 生殖補助医療に関する声明

衆議院法務委員会委員 各位     2020年11月30日

生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案'は、優生思想を煽り立てる内容であり、採決は止めてください

私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて行動しています。この立場から、しょうがいしゃの生存を否定する優生思想・優生政策に強く反対してきました。

 以下の理由で、私たちは、この法案の採決を行わないように要請します。

(1)法案の基本理念の中に、優生思想を反映した条文があること

 この法案の基本理念を、第三条で規定していますが、その4項には次の規定が置かれています。

「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする。」

 この規定にある「心身ともに健やかに生まれ」とは、しょうがいをもって生まれる子供の生存を否定しかねない内容であり、旧優生保護法の目的である「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」と同じ意味とも解することができます。

 そのため、第4条に規定する国の施策は、優生政策を進める施策になりかねず、第六条の知識の普及も優生思想の普及になりかねません。

 「生命倫理」への配慮という記述もありますが、その内容は規定されておらず、優生政策につながる第三条4項の規定をカバーするものにはなりえません。国会は、'旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律'を採決した時に、優生思想、優生政策がどれだけ危険なものであるかを心に刻んで採決されたのではなかったのでしょうか。

 (2)生殖細胞の売買などに道を開く危険性

  この法案では、生殖補助医療について、何等の規制も規定していないので、生殖細胞の売買に道を開きかねません。もし、こうした売買を容認するとすれば、「優秀な人」の生殖細胞が高値で売買されるような優生社会を作りかねません。

 附則の第三条によれば、「おおむね二年を目途として」、衆参「両議院の常任委員会の合同審査会」などの議論を行った上で、「生殖補助医療及びその提供に関する規制の在り方」などを検討して法制上の措置などを行う、としています。そうであるならば、法案の本則の部分も、この検討を踏まえた上で採決する必要があるはずです。

そうでなければ、この検討の間に既成事実が作られてしまうのではないでしょうか。

 

 この付則第三条の1項2号では、「生殖補助医療に用いられる精子、卵子又は胚の提供(医療機関による供給を含む。)・・・」などという記述もあります。これは、医療機関以外からの供給も予定しているということであり、営利を目的とした生殖細胞バンクの解禁さえも念頭にあるのではないか、と危惧されます。

 

 さらに、附則第三条3項においては、「第三章の規定の特例」も検討されるようです。本則第三章は、体外受精と人工授精を行った場合の親子関係についての規定ですが、このほかの特例を作るということは、何を検討しようとしているのでしょうか。代理母の解禁などを行おうとしているのではないか、と懸念されます。私たちは外国の事例から、代理母となった人たちの健康が損なわれたり、しょうがい児が生まれた場合に、その子の受け取りを拒否する人たちが現れてしまうことを知っているからです。

 

●結論として

 私たちは、「生殖補助医療」が優生思想・優生政策を強めかねない内容をもっているがゆえに、重大な関心を払ってきました。にも拘わらず、国会がきちんとした検討を行わず、明らかに優生政策につながる規定も含めた法案を採決しようとしていることについて、重大な危機感を覚えます。

 きちんとした検討と議論を経ずに、このような法案を採決するのは、ぜひ止めてください。


2025-02-12

2021年1月27日 感染症法等改正についての要望

  国会議員 各位

          「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会

 私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて行動しています。この立場から、しょうがいしゃの生存を否定する優生思想・優生政策に強く反対してきました。

 

 政府は1月22日、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(「感染症法」)等の改正案を閣議決定しました。具体的には、①支援金の根拠、②時短や休業の命令に応じない事業者に過料、③入院を拒否した人に懲役または罰金、④保健所の調査拒否や虚偽回答した人は罰金等です。

 私たちは①には賛成しますが、②~④には強く反対します。

 貴殿 におかれましては、本要望書の内容を十分に理解していただき,法案審議にあたられることを強く望みます。

 

【②~④の反対理由】 

1.強制条項は将来危険

 入院、調査の強制は、許されません。日本では本人の意に反する入院、社会的入院が、精神保健福祉法等によって世界に突出していることは事実です。新型コロナウイルス感染症はいずれ終息しますが、法律条項は死文化しない限り残ります。今後、入院・調査の強制条項を、人命に関わる感染症の大流行を押さえ込むという理由以外で使われた場合、矢面にされるのは“厄介者”とされてきたしょうがいしゃなのです。障害者権利条約を批准した今、将来しょうがいしゃ隔離につながる条文は作るべきではありません。ウィルスを隔離し消滅させことは感染防止の基本ですが,その方法は人権を抑圧しなくとも、療養時の支援拡充によって十分にできます。

 

2.強制より支援の拡充を

 入院、積極的疫学調査の拒否をする人の理由は様々です。それを「罰」を通じて強制的に従わせることは非常におかしいことだと思います。なかには、時短や休業を行えば従業員を解雇せざるを得なくなる、入院すれば子どもがひとりぼっちになる等のため拒否する人もいます。これならば、休業手当てを十分に出す、保育者を派遣するなど、拒否する要因を無くすことのほうが効果です。

 感染拡大を市民の責任にしないでください。


2021年1月29日 杉並区長へ(命の選別について)

 

新型コロナウイルス感染患者のいのちの選別推進を許しません

田中 良 杉並区長 殿
    

    「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会


2021年1月11日の『文春オンライン』には、

「「小池都知事は責任を果たせ!」命の選別が迫る医療現場…杉並区長が“無策すぎる都政”を告発」

との記事が掲載され、田中杉並区長は、以下のような主張をおこなって
います。
新型コロナウイルス感染が拡大する中で、「指定病院から重症者があふれ出しています。・・・人工呼吸器やエクモといった医療資源、これを扱う医療従事者には限りがあります。患者がどっと押し寄せると足りなくなる。
その場合には、治癒が期待できる人を優先すべきだ、というのがトリアージの考え方です。「命の選別」に当たるとして反対する人もいます。しかし、きれいごとでは済まない現実が目前に迫っています。戦場や災害現場と同
じ状況に陥りつつあるのです。

そうした時に「この人から人工呼吸器を外して、あの人に付けないといけない」という判断を現場の医者に押しつけていいのか。・・・」「・・・『命の選別』の責任は、現場の医者ではなく、都知事として背負わなければなりません。・・・」


そして、こうした趣旨の申し入れを、1月8日に都知事に行っていることも記載されています。
行政の責任者としては、命の選別が起こらないように努める責任があります。
にも拘わらず、この記事の中には、医療体制を拡充する方向も、感染予防の充実を図る対策も、まったく語られていません。
私たちは、このような発言を決して許すことはできません。


田中区長はさらに、次のように述べます。
「例えばの話ですが、年齢を5歳刻みなどで、生還率や死亡率を示します。人工呼吸器などを装着して外せるまでの日数も重要なデータではないでしょうか。基礎疾患との関係もあります。これらデータや症例を、一般に
分かりやすく公開するのです。・・・そうすると、人工呼吸器などを付けても延命にしかならないようなケースが見えてくるかもしれません。・・・・これらをたたき台にして、都民の皆で考える材料にします。

そうしたうえで、学会や有識者に相談しながらガイドライン化していくのです。」
つまり、高齢者や基礎疾患やしょうがいのある 人を切り捨てる基準を作れと求めているのです。このような主張に対し、わたしたちしょうがいしゃは、命の危険を強く感じます。


また、現場で苦闘している医師の方々に対しても、水を浴びせるようなものです。
例えば、“日本透析医会”は1月15日に、

「新型コロナウイルス感染症の透析患者に対する医療提供体制の整備について(お願い)」を発出して、治療体制の整備を求めていますが、こうした努力を踏みにじるものです。


そもそも、欧米と比べて、日本のコロナウイルス感染者が一桁ないし二桁少ないにも関わらず、医療崩壊が起こる、と いうこと自体が理解できません。医療政策そのものに問題があるのではないでしょうか。都立病院だけ
でなく、大学病院や民間医療機関も力を合わせて、感染対策に取り組める体制をこそ作るべきです。また、保健所の人員拡充や職場環境の整備を、図るべきなのです。こうした政策によって、医療関係者が安全に働ける環境
と感染者が安心して療養できる状況を作ることこそ、都知事に求めるべきなのです。
田中杉並区長には、上述のような努力こそ行うべきであることを要請するとともに、以下のことを求めます。


(1)いのちの選別を推進する姿勢を改め、 そうした趣旨のこれまでの発言を撤回してください。
(2)1月8日に都知事あてに提出した申し入れ書を公開してください。命の選別につながる内容を撤回する意
思を、都知事に伝えてください。


2021年2月22日 杉並区長へ、話し合い要請

 杉並区長 田中 良 様

  「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会

◇わたしたちとの話し合いを求めます

 わたしたちは、1月29日に、「新型コロナウイルス感染患者のいのちの選別推進を許しません」と題する文書を提出いたしました。

 その後、わたしたちは杉並区議会を傍聴し、2月9日の予算方針説明、2月10日午前中の日本共産党山田区議の質問に対する答弁、10日午後のいのち・平和クラブの新城議員の質問に対する答弁を聞いていました。

 

 区長は、「障害者団体の方などからいただいたご意見につきましては、その真意が十分に伝わらなかったことによるものと受け止めております」(山田区議の再質問に対する答弁)と述べています。

 わたしたちに区長の真意が伝わっていないとの考えであるならば、直接区長の真意の説明を受けて、話をしたいと考えております。

 新城議員とのやり取りにおいては、論点を解かりにくくさせているように捉えました。

わたしたちをはじめとして、区長の「トリアージ」発言の問題を指摘した団体の文章には、戦場云々を問題にしているものはありません。

そのため、議会での「戦場という表現を用いたことによりまして、わたくしの意図が正確に伝わらず、結果として、障害者団体の方などに不安を与えてしまったことについては、率直にお詫びを申し上げたいと思います。」との区長の謝罪は、誰に謝罪しているのか、まったくわかりません。

 このような議論の混乱を避けるためにも、区長と私たちが話し合いをする場を、設けていただくよう、求めます。

以下に、改めて、私たちの論点を示します。

 

文春オンラインでの区長発言を、私たちは次のように捉えています。

●区長は、「人工呼吸器やエクモといった医療資源、これを扱う医療従事者には限りがあります。患者がどっと押し寄せると足りなくなる。その場合には、治癒が期待できる人を優先すべきだ、というのがトリアージの考え方です。」と発言しました。

 その上で、こういった政策について「「命の選別」に当たるとして反対する人もいる」ことを自覚しながらも「しかし、きれいごとでは済まない現実」があるのだと言います。

 そして、「例えばの話ですが、年齢を5歳刻みなどで、生還率や死亡率」を検討したり、「基礎疾患との関係」などを検討して、「この人から人工呼吸器を外して、あの人に付けないといけない」というガイドラインを、都民や有識者も巻き込みつつ、都知事が作るべきである、と主張していると認識しています。

●このガイドラインが高齢者・基礎疾患のある人を救命治療の対象から外すものであることは、明らかです。

 わたしたちは、区長のいう「「命の選別」に当たるとして反対する」者たちです。区長は、議会での答弁の中で「切迫した医療現場を守る」ことを重要視しています。

一方で、まともな救命治療を受けられずに死なされる者の悲しみや苦しみを一顧だにしません。死なされる者の周囲の家族、福祉や医療で働く者の悔しさも振り返ろうとはしません。

 そして、こうしたガイドラインが一度作られるなら、医療制度を改善することではなく、いのちを切り捨てることによって、社会制度のほうを守ろうとする危険な優生主義が強められることは、明らかです。

●わたしたちも医療現場を守ることに同意します。しかし、まだ医療現場の支援拡大の余地があるにもかかわらず、命の選別を推進する方針に反対します。医療体制の改善は大いに可能であると考えます。

昨年、新型コロナウイルス感染の第1波が落ち着いた頃に、冬の感染が警告されていたにもかかわらず、準備を行ってこなかった政治にこそ責任があると考えます。

 

●上記の論点をもって、1月29日に文書を提出し、「いのちの選別を推進する姿勢を改め、そうした趣旨のこれまでの発言を撤回してください」、「命の選別につながる内容を撤回する意思を、都知事に伝えてください」と申し入れました。

しかし、区長の山田区議への答弁の中で、「今回の要望等を撤回する考えはございません」との発言があったことで、こうしたわたしたちの申し入れも、無視されてしまうのではないか、と懸念しています。

 区長の考えが、わたしたちの懸念する通りだとすると、生命について「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定する憲法第十三条、平等原則を規定した第十四条、生存権と福祉の向上を規定する第二十五条に違反することになります。

障害社権利条約で「生命に対する権利」を規定した第十条にも違反します。

 わたしたちは、憲法第十二条および第九十七条にも記されている人権を守るための「不断の努力」として、区長に申し入れています。

 

●前述の理由をもって、わたしたちとの話し合いの場を早急に設けていただくことを要請します。


2021年3月30日 公開質問状 川崎市

 川崎市長殿
川崎市健康福祉局障害保健福祉部長殿
保健医療政策室長殿


 私たちは、障害者権利条約の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も参加して作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて運動している団体です。

 こうした社会の実現にとって、生命について「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定する憲法第十三条、障害者権利条約第十条で規定する「生命に対する権利」は、最も基礎的な権利であると考えます。
 こうした観点から、貴市が今年1月22日に、「新型コロナウィルス感染症蔓延期における障害児者福祉施設内陽性者の入院対応について(依頼)」(以下、「障害児者福祉施設内陽性者の入院対応について」)、および、「蔓延期における高齢者・障害者等施設内陽性者の入院対応について(協力要請)」(以下、「高齢者・障害者等施設内陽性者の入院対応について」)について、強い危機感を感じております。
 「命を最優先して病床配分を行うフェーズ」とか、「救える命を救えない事態を避ける」というフレーズを記載する一方で、新型コロナ感染が陽性となった人に、 DNAR の確認を求めるなど、救命とは正反対の行為を求めています。しかも、 DNAR 概念の拡大解釈すら行っています。また、入院調整の対象となる人の状態も、かなり重度の状態を想定しており、ここまで待たされては助からないのではないか、との懸念を感じます。


こうした観点から、以下質問します。
(1)神奈川県の新型コロナウイルス感染者に対応する医療機関の状況は落ち着いてきた、と報じられていますが、ここで記述した1月22日の二つの通知については、現在も有効なものとして取り扱っているのでしょうか?


(2)「障害児者福祉施設内陽性者の入院対応について」では、「各障害児者福祉施設は、入院調整を円滑に行うため、利用者に発熱等の症状がみられる場合、DNAR(延命処置・人工呼吸器装着希望の有無)の確認」を求めています。
 「高齢者・障害者等施設内陽性者の入院対応について」においても、「施設は、陽性判明時点で DNAR(延命措置・人工呼吸器装着希望の有無)を必ず確認すること」を求めています。
救命を行うのであれば、なぜ、 DNAR を確認しなければならないのですか?


(3) DNAR とは、日本救急医学会・医学用語解説集によれば、「心肺蘇生法をおこなわないこと「と規定されています。ところが、上述した1月22日の二つの通知においては、「延命処置・人工呼吸器装着希望の有無」と、明らかに拡大解釈を行っています。
このような拡大解釈をなぜ行っているのか、説明してください。


(4)「高齢者・障害者等施設内陽性者の入院対応について」では、「DNAR 不明の場合、適切な医療機関の選定や入院調整が困難」と記しています。いのちの選別とも思われてなりません。ここに引用した部分は、具体的にどのようなことを指しているのか、説明してく ださい。

 

(5) DNAR の意思表示をしていた施設内の患者は、どのような医療機関に入院となったのか、具体的な病床の種類を示してください。


(6)「高齢者・障害者等施設」入所者の中で、 DNAR の意思表示をしていた新型コロナウイルス感染者の医療機関での死亡数を、示してください。


(7)「高齢者・障害者等施設内陽性者の入院対応について」において、入院調整の対象となる患者の状態を、次のように規定しています。「呼吸状態の著しい悪化(酸素投与無しで SpO2 92%未満、等)」、「意識状態の著しい低下」、「24 時間以上、食事水分摂取全く不可」。新型コロナウイルス感染の場合、患者の様態が急変し、死亡してしまう事態が報じられています。上述した状態まで、入院対応しなければ、死亡してしまう事例を多く生み出してしまうと考えますが、川崎市としてのご見解を説明してください。


(8)川崎市の「高齢者・障害者等施設」において、新型コロナウイルス感染により、同施設内で亡くなった方はいらっしゃいますか?いらっしゃる場合には、その人数を示してください。


(9)すべての人が救命治療を受けられるべきであると考えますが、川崎市としての今後の対策を示してください。県や国への要望も含めて教えてください。


以上の質問について、4月20日までに、書面によるご回答をお願いします。
 


2021年3月30日 公開質問状 八王子市へ

 

八王子市長殿
八王子市医療保険部長殿

  私たちは、障害者権利条約の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も参加して作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて運動している団体です。

 こうした社会の実現にとって、生命について「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定する憲法第十三条、障害者権利条約第十条で規定する「生命に対する権利」は、最も基礎的な権利であると考えます。
こうした観点から、貴市が昨年12月18日に、「市内医療機関、高齢者施設等関係者」当てに発した「院内施設内において新型コロナウイルス感染症患者が発生した際の御対応について(依頼)」について、強い危機感をもっています。
 この通知にある「現実に、病院、施設内で新型コロナ感染が判明し、その患者が DNAR※を希望されている場合、自院、自施設内で介護、看護し続けていただかざるを得ないケースが出てきました。こうした状況は貴院、貴施設でも起こり うることであり、不測の事態に備えた御準備を、適宜進めていただきますよう、お願い申し上げます。」とは、適切な救命医療を行わず、入所している施設内で死なせることを求めているとしか考えられませ
ん。続く、「近隣施設等で、前述ケースのような新型コロナ患者が発生した場合、受け入れを御検討いただける二次救急、療養型、精神病院等がございましたら、是非とも御協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。」の記述も、救命ではなく、死を待つための医療機関を募集しているとしか考えられません。
 必要な究明治療は、すべての人に保障されるべきであるのは言うまでもありません。八王子市内には、多くの精神科病院や高齢者施設があり、また、ほかのしょうがいしゃ施設もあります。この通知の結果、これらに入院・入所している人々が新型コロナウイルスに感染した場合に、救命もされないまま死なされているのではないか、という強い器具をもっています。
こうした観点から、以下、質問します。


(1)東京都では、入院中の患者数も落ち着いてきている、と言われます。この昨年12月18日付通知は、現在も有効なものとして取り扱っていますか?


(2) DNAR とは、本来、心肺蘇生法を行わないという意味ですが、そのことが人工呼吸器や ecmo といった救命治療を行わないこととは、直結しません。2021年12月18日の通知では、 DNAR を拡大解釈しているとしか思えません。「患者が DNAR を希望されている場合、自院、自施設内で介護、看護し続けていただかざるを得ない」という判断が、どうして導き出されたのか、説明してください。


(3)この2021年12月18日の通知には、「受入病院の入院病床は逼迫している状況」、「受入病院は苦境に立たされて」いる、と書かれていますが、具体的にどのような状況であったのか、説明してください。


(4)この2021年12月18日以降、人工呼吸器などの救命治療を受けられずに亡くなった方は、どのくらいいますか?高齢者施設としては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームなど、施設種類ごとにお答えください。また、医療機関についても、精神科病院、療養型病床など、種類ごとにお答えください。


(5)今後、このように救命治療を受けられずに亡くなることを防ぐために、どのような方策を検討していますか?具体的にお答えください。


以上の質問について、4月20日までに、書面によるご回答をお願いします。